天文学たのしい

ツイッターに流すにはちょっと長すぎることを投稿します

なぜ大学院入試はこんなにもしんどいのか?

約1年ぶりの投稿です。ようやく、大学院入試(院試)がほとんど終わりました(筆記試験に通過していれば、第二志望の面接を残すのみです)。

院試を意識した勉強をスタートしてから半年以上ですが、正直言ってめちゃくちゃしんどかったです。なぜかあまり語られることがないように感じる、院試のしんどさについて書いてみたいと思います。

院試はしんどい

大学院入試を受けるほとんどの人は、学部入試をクリアしてきた人のはずです。私もそうですが、学部入試と比較して院試の方がずっとしんどく感じました。もちろん、学部入試を受けたのは3年半も前のことなので、その思い出が美化されている部分はあるのですが、それを補正しても院試の方が辛かった気がします。振り返って学部入試と院試を比べてみると、同じ「入学試験」ではありますが、結構違う面があることに気がつきます。一般の場合の議論は難しいので、以下では私が過去に受けた京大理学部と、今年受けた某大学院(京大ではない)の天文専攻二つについて話します。要はただの体験談なので、それ以外を受ける人には参考になりません多分。

①受験者数・倍率と、そのゆらぎの大きさ

京大理学部の学部入試の受験者数は~1000人くらいです。合格者数は~300人で、倍率はだいたい3倍です。一方、大学院入試で私が受けたところ①の受験者数は30人弱で、合格者数は8人くらいです。②の受験者数は40人くらいで、合格者数は20人くらいのはずですが、一人の教員は一人の学生しか取りません。学部入試と院試は倍率は2-4倍でそんなに大きくは変わらないのですが、院試は母数が少ないために「自分より強いヤツが何人受けているか」みたいなもので大きく結果が変わってしまう可能性があります。特に②のほうは、教員に対する倍率が簡単に1を超えてしまうので、まさに運次第ということになってしまうのです。この「先の読めなさ」が院試をめちゃくちゃしんどくしています。

②自分の位置が全くわからない

それに追い討ちをかけるのがこれです。学部入試には「模擬試験」というツールがあり、偏差値というクソ指標お役立ち数値によって、自分は受験者の中でどのくらいの位置にいるのかをある程度客観的に知ることができました。さらには、過去25年分の過去問が市販され、そこには丁寧でわかりやすい解答がついていました。

ところが、院試には当然、模試なんていうものは存在しません。自分の物理や物理数学や英語の受験生の中での相対的な出来具合がさっぱりわからんのです。さらに、過去問解答が満足にないことも拍車をかけます。院試では全員に等しく与えられているのは、大学院のサイトに置いてある15年分の過去問PDFのみです。何をやればいいかあんまりよくわからんので、とりあえず過去問をやりますが、解答がないので解いたところでわからん問題は一生わからん、みたいなのがしょっちゅうあります。いろいろなつてを使ってどうにか解答を入手しても、解説なんかあるわけはないわけです。ところで、同じ大学院を受験する人と協力できる環境にあれば、この問題はいくらか解決するようです。私はあいにくそうではありませんでしたが...。

③周囲との温度差、周囲からの視線

周りのことなど気にするなというのは理想論であって、実際めちゃくちゃ気になるわけです。特に、受験先は友人ごとに違うという状況では、それぞれの院試に対するモチベーションに温度差がかなりあります(別にそれが悪いと言っているわけではありません。院試など楽な方が良いに決まっている)。さらにはinstagramTwitterを覗いてみれば、そこには楽しそうに遊ぶ同級生(主に内定後の就職組)がたくさんいます。これにはかなり精神をやられます。

加えて、その辺に漂う「しょーみ院試とか受かるっしょw」みたいなムードがすごいストレス。みんな「なんだかんだ受かる」みたいなことを言いがちなようですが、そんなことはありません。倍率をみれば一目瞭然。院試こわいよ〜。

④外部受験のしんどさ

今いる大学の大学院に進む人が大勢の中で、外部受験者は孤独です。私は外部しか受けませんでしたが、そうするとさらに孤独です。悪問の愚痴を言っても誰も聞いちゃあくれません。京大も受ければよかったのかな...でもお金かかるし、そもそも問題がめちゃくちゃ難しいしな...みたいな思いがぐーるぐる。高校の頃には鼻で笑っていた「受験は団体戦」の素晴らしさがようやくわかってきます。

⑤進路そのものに対する葛藤

そんな辛い生活を続けていると、私のような平民が大学院などという大層なところにお邪魔してもいいのだろうか?という疑問までも湧いてきます。地元の友人はとうの昔に就職していて、中には子供がいる人もいるのに、私はいったいなにを...。この心の声はセミの鳴き声と同時に聞こえてきました。つらいね。

⑥突然パンデミックが起こる

こんなことを言っても誰も信じてくれないかもしれませんが、さあ院試勉強だ! と思った矢先に変な新型ウイルスが私の惑星全体で流行り始めました。おかげさまで我々はソーシャルディスタンスの確保をせざるを得なくなり、大学は半分封鎖されて家にいるほかなくなりました。その結果、私は最長1ヶ月誰とも喋らない生活をしてしまいました。最初は電話とかしてましたが、周りはみんな集中して勉強してるんだろうなと思うと、躊躇しますよね。これは本当に精神を蝕んだ。普段声を出さない反動で、コンビニやスーパーでやたら元気よく挨拶していました。さすがに面接で声が出ないのはまずいなと思って、面接前日に知り合いに会話に付き合ってもらいましたが...。

私の惑星ではその後もずっとパンデミックが続いているので、院試も全部オンラインになりました。オンライン入試の詳細が1週間前とかまで全然決まらなかったのもストレスでした(もちろん、担当の先生方が大変だったのは熟知しています。悪いのはウイルス)。来年の今頃には通常の形式でできていることを祈ります...。

⑦生活リズムがぐちゃぐちゃになる

講義は8月頭で終わってしまうわけです。そうすると朝起きるモチベが全然もちもちしない。どんどん起床時間は遅くなっていき、就寝時間も遅くなっていく。そこにストレスが加わると自律神経が狂ってきて、布団に入ると目が覚めるという怪奇現象が起こるようになる...。院試当日は4時間睡眠で挑みました。つらかった。

⑧お盆期間が特につらい

お盆って、院試2週間前の直前期にあるんです。近所のお店もほとんど休みになり、学食も完全休業。食べ物に困ったのはこの期間でした。満足に食べ物がないと精神はどんどんきつくなっていきます。コンビニ弁当とスーパーの8時すぎた後のシール貼ってある惣菜ばっか食ってたら腹壊しました。しんどかった。

⑨終わっても特に楽しみがない

半年前までは、院試が終わったら、海外旅行に出かけようとめちゃくちゃ楽しみにしていたんですよ。まじコロナって何?

つらくないほうがいい

いろいろ思い出しながらたくさん文句ばかり書いてしまいましたが、周りには似たような状況でも全然つらくないという人がいたのも事実です。つらくない方が良いに決まっているので、つらくないからといってそこを気にする必要は全くないですね。私は基本的にメンタルが豆腐なのでこんな感じになってしまいましたが、これは極端な例かもしれません。

は〜〜〜〜〜〜〜しんどかった。二度とやるかこんなクソゲー

 

(2020/9/15 追記) 受けていたところは全部受かりました。よかった。